中国語語彙の診断と復習ラボ ― 忘れた理由を特定し、使える語へ戻す
忘れた単語をもう一度眺めても、同じ場所で止まりやすいものです。必要なのは「もっと頑張る」ではなく、どの結び付きが切れたかを診断し、問いの形を変えることです。この章では、単語を思い出せなかった理由を五つに分け、次の復習を具体的に作ります。
誤答を五種類に分ける
| 印 | 止まった場所 | 例 | 次のカード |
|---|---|---|---|
| O | 音 | 预约を見ても yùyuē が出ない | 字→音、音→意味 |
| M | 核となる意味 | 觉得と想を同じにする | 二つの最小文を対にする |
| C | 組み合わせ | 解决时间 と言う | 解决问题/改时间の対比 |
| S | 場面 | 医師の予約で预约が出ない | 「予約する」ではなく病院場面から問う |
| P | 自分の文 | 単語は言えるが文が作れない | 骨格文の一か所を替える |
一枚のカードに印を一つだけ付けます。複数の印を付けると、明日何を直すべきかが分からなくなります。迷う場合は、最初に止まった場所を選びます。
音で止まる語:文字を見ない練習を足す
中国語の単語は、字形だけで覚えると会話の流れで見失います。预约、觉得、选择のような語は、まず音声を聞き、二秒後に意味を言います。その後に文字を見て、同じ音を言います。
音声:yùyuē → 「予約する」
場面:病院の時間を取りたい → 预约医生
文:我想预约医生。
声調を一度で完璧にする必要はありません。ただし、正しい音を聞かないまま何度も読む練習はしません。録音した自分の音声と辞書音声を比べるときは、全体の上手さではなく、一語の母音・子音・声調のどれか一つだけを比べます。
意味で止まる語:訳語を短くし、境界を残す
単語帳の訳が長いと、思い出すときに選べません。知道は「情報を知っている」、认识は「人と面識がある」と、まず核を短くします。次に、境界を示す最小文を一つずつ置きます。
| 語 | 核 | 最小文 | 自分への問い |
|---|---|---|---|
| 知道 zhīdào | 情報を知る | 我不知道地址。 | 住所・予定・事実なら? |
| 认识 rènshi | 人を知る | 我不认识他。 | 人と初めて会うなら? |
| 想 xiǎng | したい・考える | 我想去。 | 希望や予定なら? |
| 觉得 juéde | 〜と思う | 我觉得很好。 | 感想や判断なら? |
類義語を覚えるときは、辞書の全訳を比較しません。「次に来る語」と「よく使う場面」を比べます。これなら、会話中にも短い手がかりで選べます。
組み合わせで止まる語:誤った答えを教材にする
中国語では、日本語の動詞を一つずつ置き換えると不自然になりやすくなります。間違えた組み合わせを消さず、正しい組み合わせの横に残してください。
| 言いたいこと | 迷いやすい形 | 使う形 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 問題を解決する | 改问题 | 解决问题 | 这个办法能解决问题。 |
| 時間を変える | 解决时间 | 改时间 | 可以改时间吗? |
| 薬を飲む | 喝药 | 吃药 | 我已经吃药了。 |
| 写真を撮る | 做照片 | 拍照 | 我们一起拍照吧。 |
復習カードの表には、正解だけでなく「時間を__」のような空所を置きます。答えたあと、改时间を一息で言います。文の中に置けるまで、単独の改だけを増やしません。
場面で止まる語:日本語訳ではなく用件から出す
「预约=予約する」と答えられても、病院で言えなければ能動語彙ではありません。次のように、カードの表を具体的な用件に替えます。
| 表の問い | 裏の答え | 追加する一文 |
|---|---|---|
| 医師の予約をしたい | 预约医生 | 我想预约医生。 |
| まだ予定を決めていない | 还没决定 | 我还没决定。 |
| 駅でここで降りる | 在这儿下车 | 我在这儿下车。 |
| 辛くしないでほしい | 不要太辣 | 不要太辣。 |
場面カードは、旅行、仕事、授業、病院など、自分が次に経験する順に作ります。HSKの級が上の語でも、来週必要なら先に入れて構いません。
自分の文で止まる語:骨格を小さくする
文が作れないときは、語彙が少ないからではなく、最初の文が長すぎることが多いです。主語、時間、場所、目的語を一度に替えず、一か所だけ替えます。
| 骨格文 | 替える場所 | 例 |
|---|---|---|
| 我想喝咖啡。 | 飲み物 | 我想喝茶。 |
| 我觉得这个很好。 | 対象・感想 | 我觉得这个很方便。 |
| 我需要一点时间。 | 必要な物 | 我需要帮助。 |
| 我还没决定。 | 時間を足す | 我还没决定明天的时间。 |
自作文は正確さだけを採点しません。自分に関係があり、翌日にも言えたかを見ます。言い直しが必要なら、長い文を直すより骨格へ戻ります。
復習間隔を誤答で決める
固定の予定表より、答え方に応じて次を決めるほうが続きます。
| 今日の状態 | 次に会う日 | すること |
|---|---|---|
| O・M・C・S・Pのいずれか | 翌日 | 問いを直して一度声に出す |
| 迷ったが答えられた | 3〜4日後 | 音か場面から答える |
| すぐ答え、文も言えた | 1週間後 | 混ぜたカードで確認 |
| 一週間後も自然に言えた | 1か月後 | 会話・作文で一度使う |
復習の目的は、全部を毎日見ることではありません。今日不確かだった語に、次の出番を渡すことです。新語が多すぎて復習が20分を超えたら、新語を止め、翌日束を減らします。
10分診断
ノートを閉じて、次を順に行います。
- 预约、解决、觉得、方便、选择を読んで音を言う。
- 「病院を予約する」「問題を解決する」「時間を変える」を中国語で言う。
- 我还没____。の空所を埋める。
- 「この時間は都合がよいですか」と一文を作る。
- 今日止まった一語にO・M・C・S・Pの一つを付ける。
答えの例:预约(yùyuē)、解决(jiějué)、觉得(juéde)、方便(fāngbiàn)、选择(xuǎnzé)。预约医生、解决问题、改时间、决定、这个时间方便吗? 最後の文は別の自然な表現でも正解です。
HSKリストへ戻す方法
HSKの単語ページでは、今の級から五語だけを選びます。各語にR(見て分かる)、L(聞いて分かる)、S(自分の文で言える)を付け、Sでない語だけをこの章の診断へ入れます。五語をSにしてから次の五語へ進めば、級別リストが「終えた数」ではなく使える語彙の地図になります。